ルール12 記録
12-1項 公式記録員(オフィシャルスコアラー)
1.本協会会長は、協議主催の大会・選手権試合のために、公式記録員を任命する。
2.公式記録員は、ルールに示されているとおりに試合の記録をしなければなら
ない。
3.公式記録員は、各試合の記録にあたり、判定に含まれる全決定を行う唯一の
権限を持つ。
たとえば、打者走者の一塁への進塁が安打によるものか、あるいは失策による
ものであるかを決定するのは公式記録員の責任である。しかsながら、公式記録
員はルールあるいは審判員の判定と不一致な決定をしてはならない。
(注1)公式記録員は、ルールに明確に規定されていない事項については、事項の
裁量でその決定を行うことができる。
その場合、
1 本協会記録委員会伝達事項または公式記録員手引き、
2 大会記録員の意見を考慮すること。
(注2)次のような場合は審判員に助言を与える。
1 スリーアウトになっていないのに攻守交替が行われたとき。
2 ボールカウントがスリーボールなのに、審判員が四球と勘違いして、
打者に一塁への進塁を許したとき。
3 プレイヤーの記録にかかわるルールの適用の誤りがあったとき。
(注3)アピールプレイの場合助言してはならない。たとえば、攻撃側の打順の
誤りに気づいても、審判員または両チームのいかなるものにもその事実を
告げたり、注意を促したりしてはならない。
12-2項 ボックススコア
1.各プレイヤーの氏名および守備位置は打順に従って記録されなければならない。
2.各プレイヤーの打撃および守備の記録は一覧表にしなければならない。
(1)第1欄は、各プレイヤーによるアシスト(捕殺)があれば、その数を記録
する。
(2)第2欄は、各プレイヤーによるプットアウト(刺殺)があれば、その数を
記録する。
(3)第3欄は、各プレイヤーによる失策があれば、その数を記録する。
(4)第4欄は、各プレイヤーの試合中の打席があれば、その数を記録する。
ただし、代走で打席につかなかったプレイヤーには、0(ゼロ)をつける。
(5)第5欄は、各プレイヤーの試合中の打数を記録する。
次のような場合は、打数に加算しない。
1 犠牲フライが記録されたとき。
2 犠牲バントを打ったとき。
3 四球で一塁への安全進塁権が与えられたとき。
(注)四球を得た打者走者が一塁へ行かなかった場合は進塁放棄でアウト。打者
には打数1を記録する。
4 死球で一塁への安全進塁権が与えられたとき。
5 打撃妨害または走者妨害により一塁への安全進塁権が与えられたとき。
(6)第6欄は、各プレイヤーによる安打があれば、その数を記録する。
(7)第7欄は、各プレイヤーによる得点があれば、その数を記録する。
12-3項 要約
1.要約は次の項目が記載されていなければならない。
(1)イニングスコアおよび最終スコア。
(2)試合時間。(気象条件・プレイヤーの負傷・抗議・停電などの中断時間を
除く)
(3)担当審判員・記録員の氏名。
(4)二塁打を記録したプレイヤーの名前とその数。
(5)三塁打を記録したプレイヤーの名前とその数。
(6)本塁打を記録したプレイヤーの名前とその数。
(7)打点を記録したプレイヤーの名前とその数。
(8)犠牲フライを記録したプレイヤーの名前とその数。
(9)犠牲バントの数。
(10)盗塁を記録したプレイヤーの名前とその数。
(11)ダブルプレーに関与したプレイヤーの名前とその数。
(12)トリプルプレーに関与したプレイヤーの名前とその数。
(13)残塁の数。(その打撃の結果、他の走者が第3アウトになった場合の打者
走者を含む)
(14)失策の数。
(15)捕逸を記録した捕手名とその数。
(16)投手についての要約は以下の項目を含む。
1 投球回数。(1アウトは1/3回、2アウトは2/3回として、回の部分の
数を加算する)
2 各投手の投球数。
3 各投手の被安打数。
4 各投手の失点数。
5 各投手の自責点数。
6 各投手の与四球数。
7 各投手の与死球数。
8 各投手による奪三振数。
9 各投手による暴投数、不正投球数。
10 勝利投手名。
11 敗戦投手名。
12-4項 安打
安打(ベースヒット)は、打者走者が安全に塁に達することのできる打球である。
1.野手に触れる前にグラウンドにとどまったり、フェンスを越えたり、フェンス
に当たったりしたフェアボールを打ち、安全に一塁あるいはその先の塁に達した
とき。
2.野手が普通の守備をしたとしても前位の走者をアウトにできないほど勢いが
強いか、ゆるいか、不自然なバウンドをする打球で、打者走者が安全に一塁に
達したとき。
3.野手に触れていないフェアの打球が、審判員の身体や衣服に触れて試合停止に
なったとき。
(8-1項6参照)
4.打球を処理した野手が先行の走者をアウトにしようとしたが間に合わず、たと
え一塁に送球していたとしても打者走者をアウトにできなかったと公式記録員が
判断したとき。
12-5項 安打を記録しない場合
1.打球を処理した野手により、走者がフォースアウトされるか失策がなければ
フォースアウトになったと判断される打球。
2.打球を処理した投手、捕手、内野手が、次の塁を奪おうとするか、元の塁へ
戻ろうとする先行の走者をアウトにしたとき。または失策がなければアウトに
できたと判断されたとき。
3.野手が先行の走者をアウトにすることに成功せず、公式記録員が打者走者を
一塁でアウトにできたと判断したときは野手選択による出塁とする。
(注)野手選択(フィルダースチョイス)とは、フェアのゴロを処理した野手が
打者走者を一塁でアウトにできる状態にありながら、先行の走者をアウトに
しようとうかがったり、送球したが、結果として判断を誤り、打者走者を含
むどの走者もアウトにできなかったプレイをいう。
(1)安打した打者走者が、前位の走者をアウトにしようとする野手の他の塁へ
の送球の間に、1個またはそれ以上進塁したとき。
(2)走者が盗塁や失策によらないで、他の走者をアウトにしようとする野手の
他の塁への送球の間に進塁した場合。
4.先行の走者が打球に触れるか、守備者を妨害してアウトが宣告された結果、
打者が一塁への安全進塁権を得たとき。
(注)記録員の判断で守備妨害がなくても安全に一塁に達することができたと判断
された場合は、打者に安打を与える。
12-6項 塁打の決定
塁打の決定は、打者走者が守備側の失策の助けを受けないで進塁した塁の数により
決定される。
1.野手が守備の判断を誤っても、打球に触れないならば普通の失策とはみなされ
ない。すなわち打者走者が得た塁は打者の塁打として記録される。
2.打者が塁数を伸ばそうと試み、塁をオーバースライドしてタッチアウトされた
ときは、その塁を得たことにはならない。
3.打者が自チームの勝利に必要な得点を導く安打で試合が終了したときは、その
安打について、勝利得点を記録するのに必要であった塁数と同じ塁打を与える。
その場合においては、その数だけの塁に触れることが必要である。
4.打球がフェンスを越えるか、競技場外に出た本塁打については、そのまま本塁
打として記録される。
(注)先行の走者が本塁でアウトになるか、失策のためそのアウトを免れた場合は、
打者走者が三塁を得ても三塁打としない。
12-7項 犠牲打
犠牲打(サクリファイスバント/フライ)とは次の場合をいう。
1.無死または一死で、打者がバントで1人あるいはそれ以上の走者を進塁させ、
一塁でアウトになるか、野手の失策がなければアウトになったと判断されたとき。
2.無死または一死で、打者が捕球された飛球で走者を得点させたとき。
(注)野手が飛球を捕球したのち、競技場外に出たことにより三塁走者の本塁への
生還を許した場合。
3.外野手あるいは外野で内野手によって処理された飛球またはライナーが落球と
なり走者が得点した場合、公式記録員が、それが捕球されていたとしても捕球後、
得点できたと判断したとき。
(注)本項の適用にあたって疑義のあるときは常に打者に有利に扱う。
12-8項 打点
打点(ランバッテッドイン)とは、次の理由の一つで記録される得点である。
1.安打。
2.犠牲バントあるいは犠牲フライ。
3.内野のアウトあるいは野手選択。
4.捕球されたファウルフライ。
5.走者満塁で打撃妨害、走塁妨害あるいは死球または四球で打者が安全進塁権を
与えられ、走者が得点したとき。
6.本塁打で記録されたすべての得点。
(注1)次のような場合、打点は与えられない。
(1)フォースダブルプレイ(第1アウト後、失策で第2アウトが成立しなかった
ときを含む)、またはリバースフォースダブルプレイとなるゴロを打ったとき
の得点。
(2)捕逸、暴投による得点。
(3)失策による得点。
(注2)失策による得点は原則として打点としないが、その失策がなくとも得点
できたと公式記録員が認めた場合は打点となることもある。
12-9項 プットアウト(刺殺)
1.プットアウトは野手の次のような行為に対して記録される。
(1)飛球あるいはライナーを捕球したとき。
(2)打者走者あるいは走者をアウトにする送球を捕らえたとき。
(3)走者が権利を与えられている塁を離れているときに触球したとき。
(4)走者が打球に当たったためにアウトを宣告されたり、触球されるのを避け
るために走路から外れて走ったり、守備妨害の結果としてアウトになった
とき。
(注)最も近くにいる野手に記録される。
2.プットアウトが捕手に記録される場合
(1)第3ストライクを捕球するか、無死または一死で一塁がふさがっている
ときに第3ストライクが宣告されたとき。
(2)打者がツーストライク後にバントをした打球がファウルボールになった
とき。
(3)打者が不正打球をしたとき。
(4)打者が自分の打ったフェアの打球に当たったとき。
(5)打者が打順を誤り、アピールが認められ、正位打者がアウトになったとき。
(6)打者が捕手に対して守備妨害をしたとき。
(7)打者が不正バット、変造バットを使用し、アウトになったとき。
(8)打者が反対側の打者席へ移ってアウトを宣告されたとき。
(注)不正位打者がアウトになったのち、アピールにより正位打者がアウトに
なったときは、捕手のアウトに記録し、不正位打者のアウトは取り消さない。
なお、不正位打者のアウトが三死の場合には、アピールアウトになった
正位打者のアウを優先させる。
3.各塁での離塁アウトは、各塁手にプットアウトが記録される。
12-10項 アシスト(捕殺)
アシストは野手の次のような行為に対してきろくされる。
1.一連の送球において、野手が球を扱い走者をアウトにしたとき。一つのアウト
について1人の野手が何回送球を扱っても、ただ一つのアシストしか与えられ
ない。
2.一連の送球において、球を投げた野手が自チームのプレイヤーの失策がなけれ
ば結果として走者をアウトにしたと判断されるとき。
3.打球の方向を変え(ディフレクト)、アウトにする手助けをしたとき。
4.走者が守備妨害やベースライン外を走ったために結果としてアウトになった
行為において、直接アウトにしたプレイヤーに送球またはディフレクトして球を
扱ったとき。
5.捕手が第3ストライクを落としたのち、一塁へ送球して打者走者をアウトに
したとき。
12-11項 アシスト(捕殺)とならない場合
1.野手の送球が逸れたとき、それに続いて起こった送球行為で走者をアウトに
したとしても、その野手にアシストを与えられない。
2.正しい投球のとき、走者がホームスチールを試みてアウトになったとしても、
その投手にアシストは与えられない。
12-12項 失策
失策(エラー)は、野手の次のような行為に対して記録される。
1.野手が、打者の打撃時間を延ばしたり、アウトになるべき走者を生かしたよう
な不手際な守備をしたとき。
2.フォースアウトや走者が元の塁へ帰らざるを得ないときに、走者をアウトに
する送球を受けたのち、野手が塁に触塁するのに失敗したとき。
3.捕手が打撃妨害で打者の一塁への進塁を許したとき。
4.野手が送球すべき理由がないのに送球したり、正確に塁へ投げられた送球を
捕球し損じたり、あるいは捕球しようとしなかったために走者の進塁を許した
とき。
(注)塁上に走者がいないのに、捕手が投球を捕球後、投手以外の野手に送球し、
ペナルティを取られた場合も失策が記録される。(6-6項2参照)
5.捕手が第3ストライクを落球したのち、すぐに拾って打者走者に触球するか、
一塁へ送球すればアウトにできる機会があったのに、処理を怠ったり、送球が
悪かったため打者走者をさらに次の塁へ進塁させたとき。
6.野手が打球・送球を落としたためにダブルプレイを完成するのに失敗したとき。
7.野手が走塁妨害・打撃妨害をしたとき。
12-13項 失策とならない場合
1.捕手が盗塁を阻止しようとして投げた送球が悪送球となっても、走者が進塁
しようとした塁の塁に進むことができなかったとき。
2.暴投に関するとき。
3.捕逸に関するとき。
4.野手が走者の進塁を防ごうとして悪送球をしたとき、走者が悪送球がなくとも
達したであろう塁を越えて、さらに進塁しようとしたができなかったとき。
12-14項 盗塁
1.安打、野手選択、失策、フォースアウト、アウト、捕逸、暴投、あるいは不正
投球などの理由によらないで、走者が1個進塁したときに盗塁が記録される。
(注)四球を得た打者走者が二塁へ進塁することも含む。
2.ダブルスチールまたはトリプルスチールを試みたとき、そのうちの1人の走者
でもアウトになれば、他の走者の盗塁は記録されない。
3.盗塁を企てるか塁を離れた走者がランダウンプレイの対象となり、失策を記録
されない守備側の不手際からアウトを逃れて次の塁へ進んだときは、その走者に
盗塁が記録される。また、盗塁を企てた走者がランダウンプレイの対象となり、
失策を記録されない守備側の不手際からアウトを逃れて、元の塁へ帰ったプレイ
の間に他の走者が進塁した場合、進塁したその走者には盗塁が記録される。
12-15項 自責点
自責点とは、投手が責任を持たなければならない得点である。攻撃側のプレイヤー
を3人アウトにできる守備機会をつかむ前に、安打、犠牲バント、犠牲フライ、盗塁、
プットアウト、野手選択、四死球、暴投、不正投球により走者が得点するたびに記録
される。
(注1)失策、打撃妨害、走塁妨害、捕逸、ファウル飛球失策による打撃時間延長
後の出塁、進塁は自責点の対象とならない。
(注2)同一回に2人以上の投手が出場したときの救援投手は、出場するまでの
守備の機会を考慮することなく、それまでのアウトの数をもとに改めて回を
終わらせなければならない。
(注3)前任投手の残した走者による得点は、救援投手の自責点ではないし、また
この場合、前任投手の残した走者の数までは、救援投手の責任ではない。
(注4)タイブレーカーによる出塁の走者による得点は、自責点とならない。
12-16項 勝利投手
投手は、次のような場合に勝利投手となる。
1.先発投手は少なくとも4回まで投球を完了し、交代するときに自チームがリー
ドしているのみでなく、そののちタイまたはビハインドになることなく、その
リードが維持されたとき。
2.5回または6回で終了した試合で先発投手が少なくとも3回まで投球を完了し、
交代するとき自チームがリードしているのみでなく、そののちタイまたはビハイ
ンドになることなく、そのリードが維持されたとき。
3.勝ちチームの先発投手が本項1または2の条件を満たさず、2人以上の救援
投手が出場したときは、勝利をもたらすのに最も有効な投球を行った投手を勝利
投手とする。
(注1)試合中同点となったときは、そのときから新たに試合が始まったものと
する。
(注2)相手チームがリードしているときに救援した投手が投球している間に、
自チームが逆転してそれを最後まで維持したときは、その投手が勝利投手と
なる。
(注3)投手が退いた回に得点があり、その投手が退くまでにリードしていたか、
退いた回にリードし、そのリードが最後まで維持されたときは、この得点は
その投手が任務中に得たものと記録する。
12-17項 敗戦投手
投手は投球回数に関係なく、交代時に自チームが負けており、そののち自チームが
同点あるいは勝ち越しできなかった場合は敗戦投手となる。
(注)投手は、退いたのちに自己の責任となる得点があったために負け越し、その
のち自チームが同点とするか、勝ち越さなかったときは投球回数の多少にかか
わらず敗戦投手が記録される。
12-18項 没収試合と引き分け試合
試合が終了したとき、それが正式の回数に達している限り、結果として引き分け
試合または没収試合となったとしても、投手の勝ち負けの記録を除き、個人および
チームの記録はすべて有効となる。
(注1)正式試合となったのちに没収試合となり、勝を得たチームの得点が相手
チームより多いときは、投手の勝ち負けの記録を決定する。
(注2)正式試合となるまでに没収試合となったときは、すべての記録は公式記録
としない。
12-19項 完全試合(パーフェクトゲーム)
1人の投手が1試合のすべての投球を行い、走者を1人も出さずに勝利を収めた
場合、「完全試合(パーフェクト・ゲーム)」となる。
(注1)先発投手が1球も投げずに救援投手と交代し、救援投手がその試合の
全投球を行い、走者を1人も出さずに勝利を収めた場合は完全試合の対象と
なる。(投手がDPを兼ねて出場、あるいは投手に代打または代走が出ても、
次のイニングから再出場すればよい)
(注2)「1人の走者」にはタイブレーカーの走者も含まれる。タイブレーカーに
入った場合には完全試合の対象にはならない。
(注3)安打等で出塁したしたが、打者が打者が無通告交代、DP違反または打順
抜かしの選手であった場合、その直後に相手チームの監督から抗議があり、
アウトが認められ、この走者以外に出塁した走者がなく、投手が完投した
場合は、「完全試合」の対象となる。
12-20項 無安打無得点試合(ノーヒット・ノーラン)
1人の投手が1試合のすべての投球を行い、安打の走者を1人も出さず、安打以外
の走者は塁に出したが得点を与えず勝利を収めた場合、「無安打無得点試合(ノー
ヒット・ノーラン)」となる。
(注1)先発投手が1球も投げずに救援投手と交代し、救援投手がその試合の
全投球を行い、安打の走者を1人も出さずに勝利を収めた場合は無安打
無得点試合の対象となる。(投手がDPを兼ねて出場、あるいは投手に
代打または代走が出ても、次のイニングか投ら手として再出場すればよい)
(注2)出塁する可能性のある走者は、四球・死球・失策・野手選択・打撃妨害・
一塁への走塁妨害・三振振り逃げおよびタイブレーカーの走者である。