ルール6 投球
6-1項 投球の準備
1.投手は球を持たないで、投手板上またはその付近で投球姿勢をとってはならな
い。
2.捕手が捕手席内にいないときは、投手は投球位置にいるとはみなさない。
3.投手板を踏むときは、必ず両手を離して両足を投手板に触れていなければなら
ない。
そのとき、一塁と三塁を結んだ線に両腰を合わせる。
4.捕手のサインを見るときは、投手板上で両手を離して、グラブあるいは投球す
る手に球を保持しなければならない。
5.投球動作に入るときは、身体の前または横で球を両手で持ち、2秒以上、5秒
以内身体を完全に停止しなければならない。
〈効果〉 1項
(1)ディレードデッドボール。
(2)不正投球。
6-2項 投球開始
投球動作は、両手を合わせて完全停止後、球をグラブから離したときにはじまる。
6-3項 正しい投球動作
1.投手はウインドミル、スリングショットなどのモーションで投球してよいが、
速やかに球を投げなければならない。
2.投手は両手で球を持って、投球姿勢に入ったのちは、球を片手から離して前後
左右に揺すったり、再び両手に戻したりしてはならない。
3.一つの投球動作でウインドミルとスリングショットを組み合わせたり、途中で
停止したり、逆回転したり、まぎらわしい投球動作をしてはならない。
4.投手はウインドミルで投球するとき、腕を2回転させてはならない。
(注)ウインドミルモーションをはじめる前に、腕を横あるいは後ろに落としても
よい。このとき腕は2回腰を通過することになる。
5.打者に対して下手投げで、手と手首が体側線を通過しながら球を離さなければ
ならない。
(注)手は腰の下にあって、手首は肘よりも身体から遠く離れないようにしなけれ
ばならない。
6.打者に対して自由足を一歩前方に踏み出すと同時に、投球をしなければならな
い。自由足を踏み出す範囲は、投手板の両端の前方延長線内でなければならない。
7.投手の軸足は、踏み出した自由足が着地するまで、地面に触れていなければな
らない。(投手板から離れても、地面に触れたまま引きずっていればよい)
(注)軸足は、投手板に触れたままであれば、投手板の上でスライドさせてもよい。
8.軸足が投手板以外の地面を蹴って(セカンドポイントを作って)投球してはな
らない。(クローホップを含む)
9.投手は球を離したのち、投球動作を続けてはならない。
10.投手は投球姿勢に入ったならば、打者の打撃を阻止するために故意に球を落と
したり、転がしたり、弾ませたりしてはならない。
〈効果〉 1~10
(1)ディレードデッドボール。
(2)不正投球。
11.投手は球を受けるか、球審がプレイの指示をしたのち、20秒以内に次の投球
をしなければならない。
〈効果〉 11
(1)不正投球でなく、ボールデッド
(2)打者に対してワンボールが宣告される。
6-4項 守備位置
1.投手が投球するとき、野手はファウル地域に守備してはならない。ただし、
捕手席にいる捕手を除く。
(注)このとき、投手が投球すると不正投球になる。
2.野手が、打者の視界内に位置したり、守備位置を変えたりして、打者を故意に
惑わすような行為をしてはならない。
〈効果〉 2
(1)ボールデッド。
(2)不正投球。
(3)その守備者は退場になる。
3.三塁走者がスクイズプレイ、またはホームスチールを試みたとき、捕手または
他の野手は、本塁を踏んだり、その前に立ったり、打者やバットに触れ、打撃を
妨害してはならない。
〈効果〉 3
(1)ボールデッド。
(2)打者には打撃妨害で一塁への安全進塁権が与えられる。
(3)各走者には不正投球で1個の安全進塁権が与えられる。
6-5項 異物の使用
1.守備側のメンバーは、試合中は球にいかなる異物もつけることは許されない。
ただし、審判員により事前に確認されたロジンのみ使用することができる。
2.投球する手の指にテープを巻いたり、手首や前腕部に汗とりバンド(リストバ
ンド)、腕輪、またはこれに類するものを着用してはならない。
3.球やグラブの中にロジンをつけたり、それからすぐにグラブの中に球を入れた
りしてはならない。
〈効果〉 1~3
(1)ボールデッド。
(2)不正投球。
6-6項 捕手
1.捕手は、投球のため投手が球を離すまで、捕手席内にいなければならない。
〈効果〉 1
(1)ディレードデッドボール。
(2)不正投球。
2.捕手は無走者のとき、各投球後、投手に直接返球しなければならない。
〈効果〉 2
ボールインプレイ、ボールデッドにかかわらず、打者に対してワンボールが
宣告される。ただし、次の場合を除く。
(1)走者が塁にいるとき。
(2)打者が三振したとき。
(3)打者が打者走者になったとき。
(4)捕手がファウルライン付近でファウルかフェアかはっきりしない打球を
処理して、打者走者をアウトにしようとして一塁へ送球したとき。
(5)捕手がツーストライク後の打者のチェックスイングを落球して、打者走者
をアウトにしようとして一塁へ返球したとき。
6-7項 塁への送球
1.投手はボールインプレイ中に、投球姿勢をとったのち、足を投手板に触れたま
ま塁に送球してはならない。
2.投手が投手板を外すことのできる場合は次の通りである。
(1)走者が塁を離れているとき。
(2)打者が打者席を出たとき。
(3)アピールプレイをしようとしたとき。
(注)投手が投手板を外すときは、両手を離す前に、両足を投手板の後方に外さな
ければならない。
〈効果〉 1項~7項
(1)投手が不正投球をし、打者が打たなかった場合。(空振りのときを含む)
1)ディレードデッドボール。
2)打者に対してワンボールが宣告される。
3)走者に1個の安全進塁権が与えられる。
(注)与えられた塁に達したのちも、走者はアウトになる危険を承知で進塁でき
る。走者が正しく進塁すれば、その進塁は認められる。
(2)投手が不正投球をし、打者が打った場合。(空振りのときを除く)
1)ディレードデッドボール。
2)攻撃側の監督にプレイの結果を生かすか、不正投球を取るかの選択権が
与えられる。
(注)不正投球を打者が打って一塁に進み、他のすべての走者が少なくとも1個
の進塁をしたときは、その不正投球は取り消される。
(3)不正投球が打者に当たった場合は、打者には一塁への、走者には1個の
安全進塁権が与えられる。(攻撃側の監督に選択権は与えられない)
(4)突発的事情で投手が投手板を外した場合は、審判員の判断で“タイム”
が宣告される。
6-8項 準備投球
1.準備投球は、初回と投手が交代したとき、1分間を限度とし5球以内で、次回
からは3球以内である。
〈効果〉 1
投手が規定の投球数を超えて準備投球を続けたときは、1球ごとにワンボール
が宣告される。
(注)プレイヤーの交代、打ち合わせ、負傷などの理由で、試合の開始あるいは
再開が遅れていると審判員が認めた場合は本項を適用しない。
2.同一イニング中に、いったん交代した投手が再び投手に戻るときは準備投球は
認められない。
〈効果〉 2
投手が準備投球を行ったときは、1球ごとにワンボールが宣告される。
6-9項 無効投球(ノーピッチ)
1.ボールデッド中に投球したとき。
2.打者がまだ打撃姿勢をとっていないとき、または前回の投球後、バランスを
崩しているときに、すばやく次の投球(クイックリターンピッチ)をしたとき。
3.投球のため球を離す前に、走者が塁を離れたため、「離塁アウト」になった
とき。
4.ボールインプレイ中、投手が球を持っているときに監督・プレイヤーが
“タイム”と叫んだり、何らかの野次や行為で不正投球をさせようとしたとき。
(注)違反したチームに対して警告が与えられ、再度繰り返した場合は、違反者は
退場になる。
〈効果〉 1~4
(1)ボールデッド。
(2)その投球にともなうすべてのプレイは無効になる。
6-10項 投球動作中に球がスリップした場合
投球動作中に投手の手から球がスリップしたとき。
〈効果〉 10項
(1)ボールインプレイ。
(2)打者に対してワンボールが宣告される。
(3)各走者はアウトになる危険を承知で進塁できる。
6-11項 不正投手(イリーガルピッチャー)
打ち合わせ違反で不正投手となった投手は、その試合では再び投手として登板する
ことはできない。(投手以外の守備につくことはできる)
〈効果〉 11項
(1)不正投手が再登板し、相手チームから申し出があれば、違反者は退場にな
り、失格選手になる。(不正投手が再登板したとみなされるのは、投球動作
に入ったときである)
(2)違反者は、正しい交代者と交代する。
(3)プレイに関与して、次の投球動作に入る前に発見されたときは、攻撃側の
監督にプレイの結果を生かすか、それまでのプレイを無効にし、打撃完了前
のボールカウントで打ち直すかの選択権が与えられる。
(4)プレイに関与し、次の投球動作に入ったのちは、プレイはすべて有効に
なる。